ジュゼッペ・チポッラ Giuseppe Cipolla
地区、村 : Campofranco カンポフランコ
醸造・栽培責任者 : Giuseppe Cipolla ジュゼッペ・チポッラ
ワイナリーと造り手について
ジュゼッペ・チポッラは、シチリア中南部、海に近いアグリジェント出身である。か
つて仕事をしていた都市での生活から一転し、先祖ゆかりの土地へ戻り、自らの農業
プロジェクトを開始した。きっかけは 2014 年、パンテッレリーア島を訪れた際のこ
と。ズィビッボの辛口スタイルのワインに出会い、ワイン造りへの情熱に火がついた。
2015 年に家族所有の畑にブドウ樹を植え始め、同時に醸造についても学び始める。
本能と直感、そして徐々に身につけた技術的知識に従い、実験を重ねながら醸造技術
を独学で習得した。
ワイン造りの地、パッソフォンドゥートは、シチリア中南部特有の石膏硫黄質の地層
(gessoso-solfifera:ジェッソーゾ・ソルフィフェーラ)を有していた。
そしてこの地層が、ワインにほとんど塩味にも感じられるミネラルの緊張感を与え、典型的なシチリアの豊満な果実味を切り裂くようなワインを生み出すことが試行錯誤の末に分かった。
「南の典型的な温かみを期待しないでほしい。ここでは太陽よりもジェッソ(石膏)が支配するのだ。ワインは電気のように震え、口中を洗い流す鮮烈さと、驚くほどの垂直性を持っている。この地ではジェッソこそが、ブドウ果汁を触覚的な感覚体験へと変える要素である」とジュゼッペは語る。
アグリジェント県とカルタニセッタ県の内陸の県境の、ワイン産地としてはあまり
語られない地域から、石膏硫黄質という未知の土壌に由来するワインを携え、2021年に 2020VT をリリースした。
畑と栽培について
パッソフォンドゥート地区には、もともとブドウは植えられておらず、牧草地やブドウ以外の農産物の農地として利用されてきた。
しかし、高標高で昼夜の寒暖差が大きいこと、さらに石灰や石膏を多く含む土壌といった条件から、ジュゼッペはこの地をワイン用ブドウ栽培の場として見出した。パッソフォンドゥートが位置するプラー
タニ渓谷は、硫黄の鉱山としても栄えたエリアであり、土中には硫黄成分が多く含まれる。
所有する 18ha のうち 4ha がブドウ畑で、地域ではテンドーネ仕立ても一般的に行われているが、ジュゼッペは新たに植えた畑をすべてアルベレッロ(ゴブレ)に仕立てている。
古来の方法でブドウ樹を育て、単一品種に限定することなく、土着品種すべてに声を与え、それらを調和の中で育てる。そのためワインも基本的には複数品種を原料とする。
アルベレッロは手間のかかる仕立てだが、手作業を厭わず、ブドウ樹だけでなく草や昆虫、周囲の森までもがブドウの質の不可欠な一部と考え、景観そのものをケアするアプローチを取る。
こうした手仕事の積み重ねが、ワインに個性とオリジナリティを与えているとジュゼッペは考えている。
セラーと醸造について
醸造容器は主にステンレスタンクとオーク樽を用いるが、栗樽やセラミックタンクも試す。白ワインが、全体として抽出期間は短く、フラッグシップの赤ワイン「パッソフォンドゥート」で 1 週間弱にと
どめる。目指すのは、軽やかでエレガント、かつミネラリーなシチリアワインであり、介入は最小限に抑え、土着酵母で発酵させ、濾過は行わない。
ジュゼッペによれば削ぎ落とすことで地域の個性を浮かび上がらせる醸造ということだ。
この緯度にもかかわらずアルコール度数は均衡を保ち、力強さと軽やかさというコントラストがもたらす飲みやすさを備え、偉大なクリュとしての複雑さと、食卓向きワインの流れるような軽快さを併せ持つワインを目指す。
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