カッシーナ・ヴァル・デル・プレテ Cascina Val del Prete
次世代ロエロの最先端
マッテオ・コレッジアが開拓したネッビオーロの表現としてのロエロ。それを、更に高めていく次世代ロエロの最高峰がジョヴァンニなのです。
福岡正信の藁一本革命に感銘を受け、植物としての葡萄を毎日観察し、周囲の自然環境を作り上げています。
一方で、テイスティング能力も的確で、今ネッビオーロに求められている繊細さや余韻の充実感を重視しています。
ナチュラルで繊細なワインの感覚。それがワイン造りに生かされています
◭砂質でないロエロ
蛇行していたタナロ川による 6 万年前の浸食により分割されたランゲとロエロ。北部、ロエロ側の古い土壌は削られ、砂質が堆積していきました。
ロエロという産地はタナロ川による浸食によりポー渓谷の一部が削られた事により形成されたのです。
カナーレを中心にタナロ川に近い地域は古い土壌が流され、砂が堆積しましたが、ポー渓谷の石灰岩磐が隆起して出来た古い丘(ロッケ・デル・ロエロ)は何ヶ所も残され、ここには古い粘土石灰土壌が今も残っています。
広大なロエロの最西部にあるプリオッカはバルバレスコとタナロ川で分割された地域で、アルバの北から続く大きな丘の上部に位置しており、タナロ川の浸食の影響を受けていません。
プリオッカにはタナロ川由来の砂質は存在しないのです。
約 50 万年前の鮮新世にランゲとロエロはポー湾の海底に沈んでいてミネラル塩の大量の堆積物、及び、海洋化石の堆積物を蓄積しました。
この青色泥灰土壌が主体なのがバルバレスコとプリオッカなのです。
ロエロ地区にありながら石灰含有率が高い青色泥灰土壌で砂質比率が低い北西部、プリオッカ。その中で最も標高が高く、北に位置するのがマドンナ・デッレ・グラッツイエ畑であり、ロエロを代表する偉大な畑と言われています。
◭変わっていくワイン造り
1850 年頃、亡命した修道士が住みつき、葡萄栽培を始めた事でヴァル・デル・プレテ(司祭の丘陵)と呼ばれるようになり、1977 年には当時の小作人、バルトロメオ・ロアーニャが買い取り、カッシーナ・ヴァル・デル・プレテの歴史が始まりました。
当時のロエロはワイン産地として注目されていなかったが、ロアーニャ家は丘陵部にネッビオーロ、バルベーラを植樹。平野部では桃の栽培と牛の飼育をしながら少量のバルクワイン販売を続けていました。
1995 年、2 代目マリオがワイン醸造を本格的に学び、ワイン専業農家となり、アルネイスの栽培も開始。自社でのボトリングも開始します。この当時のワインはマルク・デ・グラッツィアやマッテオ・コレッジアにも影響されて現代的なものでした。
◭不耕起、無施肥、自然発酵
2010 年、アメリカに住んでいた息子、ジョヴァンニに世代交代。一気にスタイルを変えていきます。先々代から有機栽培でしたが、福岡正信の不耕起を導入。
葡萄畑では一切の化学薬品が使われず、1 年中下草が保たれています。
急斜面のマドンナ・デッレ・グラッツイエ畑では表土が流されないよう、下草を、しっかり生やし、その根で表土を固定化します。下草が成熟し、花を咲かせ、種子が完熟したら、ある程度刈込み、種子を地中に返し、生態系を維持します。
『区画ごとに下草の種類も異なり、集まってくる昆虫や動物も異なる。それを人間の経済的理由で強制してしまえば、テロワールという考え方は崩れてしまうし、土地の味をワインに求める事は出来なくなる』
地中の有機物は劇的に増え、同時に野生酵母の種類も増え、自然発酵でも問題が起こる事は無くなりました。
葡萄自体のエネルギーも増した事で、畑ごとの個性も強まりました。これによって過度な抽出の必要は無くなっていったのです。
『畑の状態が良くなり、葡萄の表現力が増したので、造り手の意思や醸造の個性ではなく、畑の個性やヴィンテージの個性を感じるワインを造りたい。樽やテクニックには頼らず、葡萄の個性を失わないような醸造が理想』
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