アルベルト・オッジェーロ Alberto Oggero
「わたしは幼いころからせっかちな性格だった。しかしワイン造りを本格的に始めたとき、もう時間をコントロールすることはできないのだ、と悟った。新しいブドウを植えるということはつまり、順調に行っても収穫は4年後、ボトリングはその2年後と、ワインを販売できるのは7年も後のことになる。これが自然のリズム=ワインの時間であり、この仕事をするためにはそれを受け入れなければならないのだ。 わたしは、後にわたしの家となる中庭で、祖父がしてきたことを見て育ち、それはわたしのこの仕事への情熱そのものとなった。ワイン造りがわたしの一生の仕事になるのだと早くに気づき、自分のカンティーナを造りあげるために働きはじめた。 わたしが最も重きを置いているのは、可能な限りその土地の特性を活かしたワイン造りである。古くから残るブドウ木を回復させ、祖父・サンドロが所有していた醸造所でワイン造りをすること。 家族やスタッフが、困難だがやりがいのあるこのプロジェクトを前進させるのを手伝ってくれている。わたしたちはみな、大地やモストに手を突っ込む準備ができているし、四季を通じて、1日の終わりにみんなでワインをあける準備もできている。」(生産者HPより抜粋) アルベルトの祖父はワインを造り、動物も飼う農家だったが、彼の両親はピエモンテの州都トリノでの生活を選んだ。しかし幼少時代は休みの度に祖父の家へと戻り、一緒に過ごしていたことがアルベルトの原風景となっている。現在のアルベルトは身長185cmの大柄で、顔を真っ赤にして微笑む好漢。 2009 年にワインを生業としていくことを決め、祖父の家の一階部分の牛舎を片付けて醸造所とし、6ha の畑の再整備をしながらワインを造り始める。当初は設備もそろっていなかったため、2009年と2010年の生産量は5000本ほど。2019年以降は良い年で27000本ほど生産している。ロエロの砂質土壌のワインの特徴であるエレガントさとファインさを損なわないようなワイン造りを心がけており、そのため樽の使用や醸造手法においても、醸造由来の香りが支配的にならないように気をつけている。
ロエロはタナロ川を挟んでランゲのすぐ北側に位置し、アルネイズとネッビオーロを主に生産している。バローロ村からは北に30㎞程度の距離だが、現在の姿になる前のタナロ川が、ロエロの丘陵地帯を形作った際に、石灰土壌の上にたくさんの砂を運んできたため、ロエロの土壌には多くの砂が含まれ、それがロエロのネッビオーロ酒の涼しさとタンニンの主張の強さを特徴づけているとされる。アルベルトはネッビオーロにおいては非常にデリケートな抽出を心がけ、ロエロのワインの冷涼感に重点を置いている。その個性がより顕著に表れているのが、エントリーレベルの赤ワインであるサンドロ(祖父:アレッサンドロの名に由来)で、目の覚めるような冷涼感のワインである。 ◆Solo Roero ソロ・ロエロ 同世代のロエロの生産者、エンリコ(カッシーナ・フォルナーチェ)とルーカ(ヴァルファッチェンダ)との3人で、『ソロ・ロエロ』と銘打つ生産者グループを設立し、精力的にロエロに根付いたワイン造りを推進する活動を行う。3者とも栽培・醸造においての理念を共有し、同時期にワイン生産を始めた。
【畑と栽培について】
「“大地は言う。与えよ、さらば与えられん” ロエロの丘には、鮮新世(約500万年前の第三紀・地質時代のひとつ)の海砂を含む沖積土壌がある。そのため、ロエロの土壌は砂と石灰岩を豊富に含む。砂質土壌は雨による侵食を受けやすく、養分が少い傾向にある一方、この軽い地質と高い酸素含有量によって、微生物の繁殖が活発になり、その結果柔らかい土壌を形成する。これらの微生物は、地層に含まれる化石と相まって、エレガントな鉱物感をワインに与える。 砂質土壌のもうひとつの特徴は、保水力が低いことだ。これにより、ブドウは水分を求め、より深く根を張ることで、地中のリン、カルシウム、カリウムなどを豊富に吸収する。これらの元素は、ブドウのアロマの凝縮感に欠かせない。」生産者HPより抜粋 畑の管理はワイナリーの再興を掲げた2009 年からビオロジック栽培で行い、祖父より受け継いだ古木のアルネイズやネッビオーロを残したいと考えているので、畑の樹齢も高い。古い畑は彼の家を囲むようにあり、ネッビオーロは丘の上の方、アルネイズは丘の下の方に植わっている。
【セラーと醸造について】
自然酵母によるスターターを用意し醗酵を始める。白においてもマセレーションを行うが、カッペッロ・ソメルソ(すのこ状の落とし蓋を使用して、果房が液面より上に上がらないようにする)や、抽出はリモンタージュでのみ行うなど、デリケートな醸造を行うよう心がける。砂質の、涼しい土壌を活かしたワイン造りを目指している。
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