メゾン・モーリス・クレタ Maison Maurice Cretaz
メゾン モーリス クレタ(以下MMC)は、建築家のアンドレア モーリスによって営まれる、ヴァッレ ダオスタのワイナリー。2010年までは、祖父から受け継いだバンクと呼ぶ区画で収穫したブドウを協同組合に売却していたのですが、ヴァッレ ダオスタの土着品種&ブドウ栽培の歴史のスペシャリストでもある友人の農学士からの勧めもあり、2011年から試験醸造を始め、2015年から正式にワイナリーとしての活動を開始、今現在は4カ所に2haほどの畑を所有しています。アルプスの麓の切り立った谷の中にあるヴァッレ ダオスタ州は、周りを高い山々に囲まれ、平地も少なく、耕作適地が限られた土地柄。ヴァルテッリーナ同様に、太陽の恩恵に与るためには、傾斜地にブドウを植える必要があるわけですが、農業界にあらゆるテクノロジーが導入されるようになった現代においては、農作業の大半を手で行わなければいけない畑は、労を惜しまない人材の不足と圧倒的に高いコストもあり、高品質なブドウを産するにもかかわらず栽培放棄が進み…。
自然、歴史、文化、伝統を愛するアンドレアは、自然とヒトの英知のコラボ作品とも言える、岩肌に張り付くようにして各所に点在する畑や、国際的な品種導入の陰に追いやられている伝統的な土着品種の維持&保護も目的として、ワイナリーを立ち上げます。農業機械が一切入れないような、作業効率の悪い地域にある畑やそこに植わる伝統品種を後世へと受け継いでいくためには、それらの優位性を示す必要がある…アンドレアは、このように考えたのだとオータは推測しています。
多様な生物(微生物、動植物)多様性を実現するためにビオディナミを実践、ブドウ樹のダメージを最小限に留める剪定方法を採用、醗酵を円滑に進めるために白ブドウ品種にも醸し醗酵を行い、醗酵中の温度管理も一切行わず、無濾過無清澄でボトリング。酸化防止剤も、ボトリング時にごく少量を添加。DOCのレギュレーションそのものに疑問を持ったアンドレア、2020年以降にリリースしたワインに関しては、DOCを名乗らず全てヴィーノ ダ ターヴォラに格下げすることにします。
アンドレアにバトンを託すまでの間、ブドウ栽培という伝統&文化を守ってくれていた先人に敬意を表すべく、彼らの名前がワイン名となっており、それぞれのワインに描かれている習字チックなデザインも、それぞれの人物に因んでいるそう。
各区画(◎)と、そこで産するワイン(●)をご紹介します!
◎BANQUES(バンク):アオスタ西部の町ケザレにある、標高640-700mに位置する1.2haの区画。
●LIE(リー)2016&2017:ヴァッレ ダオスタを代表する白の土着白品種であるプティアルヴィンで造るワイン。5日間の醸し醗酵、ステンレスタンクで醗酵&熟成。リーは、アンドレアの父方の祖父の名前Lie-Elia Maurice(リー エリア モーリス)から。ラベルには、ヒトを連想させるデザインが施されています。パルチザンで職人だった祖父と、ワイン造りのあり方と伝統を守るという事に対するアンドレアの想いや矜持を重ねたものとなっています。
●MIN (ミン)2017:1700年代後半にはヴァッレ ダオスタでの栽培が確認されている黒ブドウ品種のマイオレ100%のワイン。マイオレは、ヴァッレ ダオスタの土着品種の中でもっとも早熟なブドウで、州のほぼ全域で栽培されているとの事。が!!!書類レベルで確認されている栽培総面積は7ha(=トリンケーロのバルベーラの栽培面積よりも少ない…)だそう…。繊細な香りと柔らかな味わいがあり、後味に独特の苦みがあるのが特徴。ステンレスタンクでの醗酵&熟成。ミンは、父方の祖母Min Erminia Mondet(ミン エルミニア モンデ)から。エネルギーという言葉をよく口にするアンドレア、このワインには“生命”をイメージしたデザインが(そう言われれば、そうも見えなくもない気がしますが、なぜそう見えたかはなかなか説明しづらく…)。
●NEE(ネエ)2018:DOC名としては、トッレッテ シュペリウールにあたり、セパージュ的にはプティ ルージュ70%、コルナリンとマイオレを合わせて30%。ステンレスタンクでの醗酵&熟成。ネエは、母方の祖父ネーロのあだ名。“黄金比”、“調和”をイメージしたデザインが描かれています。
◎MONOT(モノ):州最東部にある町、ポン サン マルタンを眼下に望む(標高360-440m)場所にある、0.55haの区画。
●BOS(ボス)2018:ネッビオーロ ピコテンデロ85%、ネイレとネール ダラを合わせて15%。約1か月の醸し醗酵、1年の樽熟成の後にステンレスタンクでもう1年追熟させボトリング。ボスは、ポン サン マルタンでは古くから存在する、非常にポピュラーな名字。黒い丸が描かれているのですが、丸が月、太陽、点などを、黒がワイン造りのミステリアスな部分を象徴しているそう。
◎CLOUEO(クリウ):州最西部の、ヨーロッパで最も高い標高(1200m)にあるブドウ畑として知られている、モルジェにある0.08ha(!!!!!!)の区画(アンドレアの所有する区画は標高1050m)。クリウはヴァッレ ダオスタの方言で、フランス語のClos(クロ)にあたる言葉。“閉じた”という意味が転じて、“石壁に囲まれた区画”を指します。降雪に耐えられるよう、非常に低い棚仕立てとなっており、棚を支える支柱には石柱が使われています。
●VIF(ヴィフ)2018&2019: プリエ ブラン100%。理由は定かではありませんが、2018年ヴィンテージはヴィーノ ダ ターヴォラ、2019年はブラン ド モルジェDOCでリリース。5日間の醸し醗酵、ステンレスタンクでの醗酵&熟成。ワイン名は、今現在アンドレアが栽培を手掛ける区画の石柱に刻まれている、そこにその石柱を設置したとおぼしき人物のイニシャルVFから。山を連想させるデザインが描かれています。0.1haにも満たない畑。
モノのあるポン サン マルタンからヴィフのあるモルジェまで80km近く…。ここまで離れたエリアに畑を所有する造り手は、ヴィナイオータの中にも誰一人としていないと思いますし、このことからも、アンドレアのヴァッレ ダオスタ愛と伝統を残すための覚悟や気合が十分に伝わってくるかと…。どのワインも、凛とした佇まいがあり、(ナチュラルな)醸造方法由来のエクスキューズなど微塵もない仕上がりです。
自然、歴史、文化、伝統を愛するアンドレアは、自然とヒトの英知のコラボ作品とも言える、岩肌に張り付くようにして各所に点在する畑や、国際的な品種導入の陰に追いやられている伝統的な土着品種の維持&保護も目的として、ワイナリーを立ち上げます。農業機械が一切入れないような、作業効率の悪い地域にある畑やそこに植わる伝統品種を後世へと受け継いでいくためには、それらの優位性を示す必要がある…アンドレアは、このように考えたのだとオータは推測しています。
多様な生物(微生物、動植物)多様性を実現するためにビオディナミを実践、ブドウ樹のダメージを最小限に留める剪定方法を採用、醗酵を円滑に進めるために白ブドウ品種にも醸し醗酵を行い、醗酵中の温度管理も一切行わず、無濾過無清澄でボトリング。酸化防止剤も、ボトリング時にごく少量を添加。DOCのレギュレーションそのものに疑問を持ったアンドレア、2020年以降にリリースしたワインに関しては、DOCを名乗らず全てヴィーノ ダ ターヴォラに格下げすることにします。
アンドレアにバトンを託すまでの間、ブドウ栽培という伝統&文化を守ってくれていた先人に敬意を表すべく、彼らの名前がワイン名となっており、それぞれのワインに描かれている習字チックなデザインも、それぞれの人物に因んでいるそう。
各区画(◎)と、そこで産するワイン(●)をご紹介します!
◎BANQUES(バンク):アオスタ西部の町ケザレにある、標高640-700mに位置する1.2haの区画。
●LIE(リー)2016&2017:ヴァッレ ダオスタを代表する白の土着白品種であるプティアルヴィンで造るワイン。5日間の醸し醗酵、ステンレスタンクで醗酵&熟成。リーは、アンドレアの父方の祖父の名前Lie-Elia Maurice(リー エリア モーリス)から。ラベルには、ヒトを連想させるデザインが施されています。パルチザンで職人だった祖父と、ワイン造りのあり方と伝統を守るという事に対するアンドレアの想いや矜持を重ねたものとなっています。
●MIN (ミン)2017:1700年代後半にはヴァッレ ダオスタでの栽培が確認されている黒ブドウ品種のマイオレ100%のワイン。マイオレは、ヴァッレ ダオスタの土着品種の中でもっとも早熟なブドウで、州のほぼ全域で栽培されているとの事。が!!!書類レベルで確認されている栽培総面積は7ha(=トリンケーロのバルベーラの栽培面積よりも少ない…)だそう…。繊細な香りと柔らかな味わいがあり、後味に独特の苦みがあるのが特徴。ステンレスタンクでの醗酵&熟成。ミンは、父方の祖母Min Erminia Mondet(ミン エルミニア モンデ)から。エネルギーという言葉をよく口にするアンドレア、このワインには“生命”をイメージしたデザインが(そう言われれば、そうも見えなくもない気がしますが、なぜそう見えたかはなかなか説明しづらく…)。
●NEE(ネエ)2018:DOC名としては、トッレッテ シュペリウールにあたり、セパージュ的にはプティ ルージュ70%、コルナリンとマイオレを合わせて30%。ステンレスタンクでの醗酵&熟成。ネエは、母方の祖父ネーロのあだ名。“黄金比”、“調和”をイメージしたデザインが描かれています。
◎MONOT(モノ):州最東部にある町、ポン サン マルタンを眼下に望む(標高360-440m)場所にある、0.55haの区画。
●BOS(ボス)2018:ネッビオーロ ピコテンデロ85%、ネイレとネール ダラを合わせて15%。約1か月の醸し醗酵、1年の樽熟成の後にステンレスタンクでもう1年追熟させボトリング。ボスは、ポン サン マルタンでは古くから存在する、非常にポピュラーな名字。黒い丸が描かれているのですが、丸が月、太陽、点などを、黒がワイン造りのミステリアスな部分を象徴しているそう。
◎CLOUEO(クリウ):州最西部の、ヨーロッパで最も高い標高(1200m)にあるブドウ畑として知られている、モルジェにある0.08ha(!!!!!!)の区画(アンドレアの所有する区画は標高1050m)。クリウはヴァッレ ダオスタの方言で、フランス語のClos(クロ)にあたる言葉。“閉じた”という意味が転じて、“石壁に囲まれた区画”を指します。降雪に耐えられるよう、非常に低い棚仕立てとなっており、棚を支える支柱には石柱が使われています。
●VIF(ヴィフ)2018&2019: プリエ ブラン100%。理由は定かではありませんが、2018年ヴィンテージはヴィーノ ダ ターヴォラ、2019年はブラン ド モルジェDOCでリリース。5日間の醸し醗酵、ステンレスタンクでの醗酵&熟成。ワイン名は、今現在アンドレアが栽培を手掛ける区画の石柱に刻まれている、そこにその石柱を設置したとおぼしき人物のイニシャルVFから。山を連想させるデザインが描かれています。0.1haにも満たない畑。
モノのあるポン サン マルタンからヴィフのあるモルジェまで80km近く…。ここまで離れたエリアに畑を所有する造り手は、ヴィナイオータの中にも誰一人としていないと思いますし、このことからも、アンドレアのヴァッレ ダオスタ愛と伝統を残すための覚悟や気合が十分に伝わってくるかと…。どのワインも、凛とした佇まいがあり、(ナチュラルな)醸造方法由来のエクスキューズなど微塵もない仕上がりです。
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