イル・モルテッリート il Mortellito
シチリア東部のカターニアから高速道路入り、途中から下道を南下すること約2時間。下道を走りながら出会うのはのレモン畑にくらいでしょうか。そうこうして小道を進んで行くと、古い建物のイル・モルテッリートがあります。
ここは最南端のポルトファーロとパキーノ寸前の場所。この一帯はアーモンドやドライトマトの産地として有名で、すぐ近くのマルツァメーミ港はかつてマグロ漁とその加工場として栄えた小さな漁師街です。
現在のイル・モルテッリートはダリオ・セッレンティーノと妻ヴァレンティーナ、そして親戚家族によって営まれ、運営や栽培、醸造をダリオが担い、親類家族などが畑の管理を手伝う協同運営です。
ここにはかつて、小さな畑を所有する人々がいて(ダリオの父も)、葡萄栽培と醸造、オリーヴ、アーモンド栽培などそれぞれが協力していました。それと同時に、徐々に農家を諦めてしまう農家もありました。そんな中、カターニア大学を卒業したダリオは父の仕事を引き継ぎ、ワインを中心にした形態にしようと決めました。
そこで、まず、家族と親類の土地を一つにして、組合方式による共同経営のイル・モルテッリートを立ち上げ、ダリオが畑や蔵の仕事を主に担い、妻ヴァレンティーナ、マリオ、メリーナが彼を補助しています。ダリオから感じるのは、使命感でしょうか。農業に限らず、伝統産業も薄れていく中、農業を中心に生活することで成立する家族や仲間の生活を目指すこと。土地の風土や伝統様式をできる限り活かしながら、経験の中で生まれる自分の感覚に率直なワインを仕込むことにあります。
彼がボトリングを始めたのは確か2014年頃で、古いカンティーナをそのまま利用しています。畑や蔵は自然なアプローチを心がけ、薬剤などによる処置を行なわず、健全な土壌で育つ葡萄の個性をそのままに表現できるようにしています。醸造においても、温度コントロールをせずに野生酵母のみで醗酵させ、ボトリング前に極少量の酸化防止剤を添加するのみです。
現在醸造する4種類のワインのどれもがフラッグシップと言えるような存在で、ミネラルや味わいの濃淡が非常に綺麗だということ。
この土地の気候風土や彼の嗜好性もあり、白に関しては醸しをせずに、清涼感を残す雰囲気にしています。唯一の赤も基本的には酸味の重要性や酸化に弱い傾向のあるネーロ・ダーヴォラよりもフラッパーを主体にして屈強さよりも、エレガントな質感を残せるようなスタイルです。
品種はグリッロとカタッラット。そして貴重なモスカート・ビアンコ。モスカート・ジャッロやモスカート・ディ・ノートとも呼ばれます。これはイタリア北部のアレッサンドリア地方のモスカートと異い、果粒が小さく半分ほどの大きさで、水分含有量や収穫量も極端に少ないのが特徴です。
アロマティックな要素をもち合わせつつも、酸味を程良く保つため、スッキリとした甘みがあり、ドライでバランスが整った綺麗な雰囲気をもつ珍しいモスカートです。
収量はまだ小さく、2017年からこのワインを醸造してから2回目のリリースとなりますが、「本土のモスカートとは全く違う雰囲気を持つこのワインを楽しんで欲しい、知って欲しい」と彼は心から願っています。
赤品種はネーロ・ダーヴォラとフラッパート。ダリオ曰く、「この地では古くから酸化防止剤を添加せずに醸造するのが当たり前」。しかし、現実的にはネーロ・ダーヴォラほど酸化防止剤なしで真っ当なワインとして成立させるのが難しい品種はないと考えています。何故ならば、この品種の酸化スピードは非常に速く進み、熟成中にも極端にそれが進んでしまうからだと言います。
それゆえに、毎年、このアプローチでネーロ・ダーヴォラを醸造しても、かなり恵まれた条件で育った葡萄でなければ、どうしても困難にぶつかってしまうそうです。これを単一で醸して納得できたものは2014のみ。
それ以降は彼の感覚的な判断では、酸化が早く進んでしまった状態だったのでリリースも見送り、ある年には仕込むこともしませんでした。2016年以降のロッソでは大半をフラッパートにし、その豊かな酸味によって綺麗でありながら、繊細な旨味が引き立ち、ネーロ・ダーヴォラの渋みやコクが静かに重なるスタイルです。
これらに加え、新たな挑戦の中で醸したのがTiraciàtu(ティラチャートゥ)2018で、モスカートのパッシート(甘辛口)です。9月終わりまで収穫を待ち、畑で完熟させてから少し陰干しして醸造。パンテッレリーアのパッシートのような雰囲気もあり、やや甘味が抑制され、爽やかで柔らかな甘味がとてもチャーミングです。
(輸入元資料より)
ここは最南端のポルトファーロとパキーノ寸前の場所。この一帯はアーモンドやドライトマトの産地として有名で、すぐ近くのマルツァメーミ港はかつてマグロ漁とその加工場として栄えた小さな漁師街です。
現在のイル・モルテッリートはダリオ・セッレンティーノと妻ヴァレンティーナ、そして親戚家族によって営まれ、運営や栽培、醸造をダリオが担い、親類家族などが畑の管理を手伝う協同運営です。
ここにはかつて、小さな畑を所有する人々がいて(ダリオの父も)、葡萄栽培と醸造、オリーヴ、アーモンド栽培などそれぞれが協力していました。それと同時に、徐々に農家を諦めてしまう農家もありました。そんな中、カターニア大学を卒業したダリオは父の仕事を引き継ぎ、ワインを中心にした形態にしようと決めました。
そこで、まず、家族と親類の土地を一つにして、組合方式による共同経営のイル・モルテッリートを立ち上げ、ダリオが畑や蔵の仕事を主に担い、妻ヴァレンティーナ、マリオ、メリーナが彼を補助しています。ダリオから感じるのは、使命感でしょうか。農業に限らず、伝統産業も薄れていく中、農業を中心に生活することで成立する家族や仲間の生活を目指すこと。土地の風土や伝統様式をできる限り活かしながら、経験の中で生まれる自分の感覚に率直なワインを仕込むことにあります。
彼がボトリングを始めたのは確か2014年頃で、古いカンティーナをそのまま利用しています。畑や蔵は自然なアプローチを心がけ、薬剤などによる処置を行なわず、健全な土壌で育つ葡萄の個性をそのままに表現できるようにしています。醸造においても、温度コントロールをせずに野生酵母のみで醗酵させ、ボトリング前に極少量の酸化防止剤を添加するのみです。
現在醸造する4種類のワインのどれもがフラッグシップと言えるような存在で、ミネラルや味わいの濃淡が非常に綺麗だということ。
この土地の気候風土や彼の嗜好性もあり、白に関しては醸しをせずに、清涼感を残す雰囲気にしています。唯一の赤も基本的には酸味の重要性や酸化に弱い傾向のあるネーロ・ダーヴォラよりもフラッパーを主体にして屈強さよりも、エレガントな質感を残せるようなスタイルです。
品種はグリッロとカタッラット。そして貴重なモスカート・ビアンコ。モスカート・ジャッロやモスカート・ディ・ノートとも呼ばれます。これはイタリア北部のアレッサンドリア地方のモスカートと異い、果粒が小さく半分ほどの大きさで、水分含有量や収穫量も極端に少ないのが特徴です。
アロマティックな要素をもち合わせつつも、酸味を程良く保つため、スッキリとした甘みがあり、ドライでバランスが整った綺麗な雰囲気をもつ珍しいモスカートです。
収量はまだ小さく、2017年からこのワインを醸造してから2回目のリリースとなりますが、「本土のモスカートとは全く違う雰囲気を持つこのワインを楽しんで欲しい、知って欲しい」と彼は心から願っています。
赤品種はネーロ・ダーヴォラとフラッパート。ダリオ曰く、「この地では古くから酸化防止剤を添加せずに醸造するのが当たり前」。しかし、現実的にはネーロ・ダーヴォラほど酸化防止剤なしで真っ当なワインとして成立させるのが難しい品種はないと考えています。何故ならば、この品種の酸化スピードは非常に速く進み、熟成中にも極端にそれが進んでしまうからだと言います。
それゆえに、毎年、このアプローチでネーロ・ダーヴォラを醸造しても、かなり恵まれた条件で育った葡萄でなければ、どうしても困難にぶつかってしまうそうです。これを単一で醸して納得できたものは2014のみ。
それ以降は彼の感覚的な判断では、酸化が早く進んでしまった状態だったのでリリースも見送り、ある年には仕込むこともしませんでした。2016年以降のロッソでは大半をフラッパートにし、その豊かな酸味によって綺麗でありながら、繊細な旨味が引き立ち、ネーロ・ダーヴォラの渋みやコクが静かに重なるスタイルです。
これらに加え、新たな挑戦の中で醸したのがTiraciàtu(ティラチャートゥ)2018で、モスカートのパッシート(甘辛口)です。9月終わりまで収穫を待ち、畑で完熟させてから少し陰干しして醸造。パンテッレリーアのパッシートのような雰囲気もあり、やや甘味が抑制され、爽やかで柔らかな甘味がとてもチャーミングです。
(輸入元資料より)
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