レ・カイユ・デュ・パラディ Les Cailloux du Paradis (クロード&エティエンヌ・クルトワ Claude & Etienne Courtois)
1995 年にソローニュで創業。創業時の苦労の末、現在では国内外に熱狂的なファンのいるクルトワ家。極端なまでの低収量で、究極ともいえる有機ワイン。アペラシオンは通常ならば「トゥーレーヌ」と称するところだが、AOP を名乗るつもりの全くないクルトワは、「ヴァン・ド・ターブル」で我が道を行く。
クロードの生まれはシャブリのアリス・エ・オリヴィエ・ドムールがワイナリーを構えるクルジ村近く。父親がネゴシアンで幼い頃よりワインに携わってきたが、急速な機械化と過剰と思われる農薬の散布を推奨する近代農業に疑問を持ち、父とは違うやり方を模索し、70 年代後半から南のトゥーロン(リモージュの近く)に妻のクロディーヌとともに移住。
およそ 15 年間牧畜(牛、豚、馬、鶏、羊)と農業を営む傍らワイン造りを続けてきた。しかし 1991 年に自然火災に巻き込まれ全てを失った。ほぼ無一文の状態となってしまい、家族で移り住める場所を探していたところ、ソローニュにあるブドウ畑付きの物件が新聞で売りに出ており、移住することに決めた。
シレックス土壌の「レ・カイユ」と「レ・パラディ」という2つの区画でワイン造りを再開し、1995 年がファーストヴィンテッジとなったのだった。そのリリースからパリのレストランや専門家の中の一部の理解者の間で高い評価を得たクルトワ家のワインだが、20 年たっても 30 年たっても、彼らの生活には大きな変化はなく、ひたむきに彼らの土地を耕している。2012 年から三男エティエンヌが一部のキュヴェの醸造を始め、2019 で代替わりをした。
クロードもエティエンヌも醸造学校には通っておらず、他のワイナリーでも仕事をしたことがないそうだ。
クロードは 14 歳の時から父の手伝いで農作業を始め、エティエンヌも幼い頃からクロードに畑について回り、徹底した有機栽培と細やかな畑仕事が父クロードから受け継がれ、エティエンヌの息子もまた、彼らと共に畑に出ている。
【畑と栽培について】
全部で 18ha の所有地に植わる 6ha の畑は全てセラーから徒歩数分圏内。移住してきた頃に植えられていたレ・カイユとレ・パラディの以外の畑は全てクルトワ家の手により植えられたもので、ロワールで現在一般的に植えられている品種を始め、古い書物に言及のある現在ではロワールでは植えられていないような品種も多数植わっており、白品種で 10 種類以上、赤品種で 20 種類以上のブドウが植えられている。
それぞれの品種は最初の数十本を苗木屋や知人の造り手から枝を入手し、その後は数年ごとセレクション・マサルでそれぞれの作付面積を増やしていく。
「どんな品種でもそれぞれの畑の中で優良な枝を選別すればその畑の気候や土壌に合ったものになっていくはずだ」とクロードは考える。
仕立ては複数のタイプのギュイヨ―仕立てで、気候変動により気温が上昇してきて以降は、仕立ての高さを上げてブドウを地表から遠くし、新芽が天に向かい高くなるように、垣根仕立ての針金の高さを一段上げた。
「環境の調和がとれていれば、腐敗果の心配も減り、素晴らしいワインを作ることができる。ビオディナミといっても、よその畑の草や堆肥を持ちこむことに私は同意しない。醸造家であるよりも農夫であり続けたい」を大事にしたいとクロードは言う。
ただそれは新しいことを受け入れないということではなく、自身の経験と感覚を頼りに試行錯誤を繰り返すということだ。移住当初はコンクリートのように固い土壌だったそうだが、クルトワ家が懸命に耕してきた畑は、草が生い茂り、一度は枯れてしまっていたと思われていた樹齢 100 年の大きな栗の木がそびえている。
【セラーと醸造について】
家族で建築、増築した自宅兼セラー、全て地上階。壁は分厚く設計してあるので、空調を入れれば十分に室温は管理できる。当初は壁もない時期もあったらしいが…。複数のサイズの手動の垂直プレスを使用し、収穫の時期は次から次にブドウを運んでくるので、プレスはいくらあっても足りないそうだ。
ステンレスタンクとグラスファイバータンク、琺瑯製のタンクで醗酵し熟成は木製樽かアンフォラ、炻器(jarre en grès)を使う。マセレーションの期間は1-3週間、樽熟成期間も12-30か月と品種やVTにより醸造手法は様々。樽熟成期間が長いほど、瓶熟成の期間も必要だと考えており瓶詰後も長期間(理想的には樽熟成と同じ期間)リリース前にワインを休ませている。
エティエンヌが積極的に醸造に参加しだしたのは2010年頃のこと。ガスコン種から造られるイコネ2012はエティエンヌが初めて1人で作ったキュヴェだそうで、これが造られるなら大丈夫だとクロードも太鼓判を押した。クロードは徐々に醸造からは手を引き、クロード作のラシーヌ・ルージュは2019年で最後、以降はクロードが長年増やしてきた様々な品種の単一品種キュヴェを樽1つか2つだけ造っている。
クロードからエティエンヌへと受け継がれたレ・カイユ・デュ・パラディのワイン造りは木製樽を使ってのものだったが、遅霜と病害に見舞われ収穫量がほとんど確保できなかった2021VTはワイナリーのほとんどの樽を満たすことができなかった。
そのため多くの古樽を廃棄せざるを得ない事態となり、エティエンヌは代わりに炻器(jarre en grès)を導入した。よって2022VTまでのワインは全て木製樽で熟成。
2023VTのワインは全て炻器、2024VT以降のワインは炻器と木製樽を併用している。
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